裁定理論とは、少しややっこしいのですが、リスク無しで裁定利益を得るには、投資家は
同一のキャッシュ・フローを交換することを行わずにはできないとする概念です。
通常リスクなしで、ただ裁定理論に従うだけでは、標準的な国債の利回り以上の利益を
得ることができません。裁定理論を利用する場についてですが、オプションや先物の
フェアバリューを決定するためにあります。
例えば100,000円の価値の資産を買うのに対して、その資金を2ヶ月1600円の金利コスト
を支払って借入する状況を仮定します。
また、2ヵ月後にこの資産を110,000円で売却し、8400円の利益を得たとします。しかし、
ここでは借入を行わずに2ヶ月の先物契約を買った場合を想定します。
この先物契約を2ヶ月先の期日まで保有したなら、この契約のフェアバリューとは8400円
の利益を生む契約と同じ価格になります。
ですので、期日での契約の価値は期日での対象資産の価値と等しくなります。101,600円
という価格が先物契約の買い手に8400円の収益をもたらしました。
もし仮に2ヵ月後に8400円の利益をもたらす、先物契約が101,600円以下で売られていた
場合、その先物契約を買い対象資産に空売りすることによって、実際の相場にて、リスク
のない利益、すなわち裁定利益を得ることができるのです。
そして、逆に、もし先物契約が101,600円以上で売れるなら、対象資産を買い、先物契約
を売ることによって、再びリスクのない利益を得ることができます。
アービトラージャー(裁定取引者)は、
先物契約の価格とその対象資産の価格との関係
を常にモニターすることによって、機会がもし訪れたときには裁定取引に参入します。
そしてこのような裁定行動の存在によって、先物価格はそのフェアバリューから大きく離れ
ることはありません。比較的簡単にみつけることができる裁定機会は他の投資家の取引
によってすぐに埋められてしまいます。
しかし、より注意深く市場の観察を続けることにより、誰も気づいていない小さなリスクで
大きな利益を得られることができます。
PR